小字北村商店
私たちの理念は、「自然に対する人為的な関与をできるだけ少なくし、自然界がもつ力を最大限に発揮させることで、人類がより豊かな生活水準を達成することへ貢献すること」です。
自然に対する関与を少なくする、その方法が肥料や農薬を使用しない方法で農作物を生産することです。この方法にこそ、大自然の恩恵を余すことなく享受するヒントがあると私たちは考えています。
その具体的な方法として「自然農法」を選択しています。今は、自然界から生まれる力がさらに現状を向上させる正のスパイラルを生み、生産物は年々増加し、その恩恵に日々感謝しています。
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本田式稲作法 初版

ーーーはじめにーーー
近年の稲作においては、経営を大規模化し、コストを削減する方法が中心となっている(規模の経済)。

 

慣行農業では、化学肥料や農薬を適切に使用し、効率よく生産しており、
2017年度の水稲10a平均収量は、全国平均で532kgであった(農林水産省、2017)。
奈良県、熊本県ではともに513kgであり、全国平均より少し下回っている。

 

慣行農業においては、この10aにおける平均収量をより大面積で効率よく生産する手法であると言える。
有機農業では、10a平均収量は443kgであり、慣行農業と比較して20%減少している(農林水産省、2007)。

 

熊本県で農業を営む本田謙二氏の水田における、近年の収穫量は10aあたり780kgであり、慣行農業の収量を大きく上回る。

本田氏は有機質資材は使用するが、近年はたい肥などの投入もやめており、ほぼ無投入で稲作を実施している。

 

本田氏の稲作とはいかなるものであるか、本田謙二氏本人による勉強会での本田氏の言動をもとに考察する。

 

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図1. 奈良県橿原市での稲作勉強会(2018/3/14)

 

ーーーーー課題ーーーーー
本田式稲作法(乾田苗代一本植・反収13俵)を明らかにする。

 


ーーーーーデーターーーーー
奈良県橿原市にて、2018/3/14に実施された本田謙二氏本人による稲作勉強会での本田氏の言動を基にする。
ちなみに本田氏は現代農業(農山漁村文化協会発行)に複数回、取り上げられている。

 

◆本田氏が取り上げられた現代農業◆
本田謙二(2015)「小さいことはいいことだ」,現代農業(5),p.368-369.
本田謙二(2013)「超疎植で「旭一号」豊作」,現代農業(1),p.372-373.
本田謙二(2013)「昔人間の超疎植イネ、今年こそは一tどり!?」,現代農業(10),p.381.
本田謙二(2012)「野性味あふれるイネ「旭一号」で超多収をねらう」,現代農業(2),p.189-190.

 

熊本県玉名市で、借地30aで水稲を単独実施、85歳。
15歳から、熊本県の松田喜一氏の松田農園に1年(平坦地向)、
富山県の宮川庄太郎氏(S26)の農園で半年研修(寒冷地向、温床苗一本植)。

 


ーーーーー結果ーーーーー

 

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図2. 本田式稲作法栽培暦

資料)聞き取り調査により筆者作成.

 

◆前年12月◆
 採種用種籾を播種。

 

◆3月中旬◆
 泥水選(適当に泥を使用して、約20%除去)。
 稲穂先3分の1の種籾を採種。
 種籾を浸種。

 

◆4月初旬〜中旬◆
 播種。薄播。立派な苗をつくること。
 140cm(4尺5寸)幅、240cm(8尺)長の苗床畝1坪に選別後種籾を3合播種(1尺5寸角植の場合)。
 140cm(4尺5寸)幅、480cm(16尺)長の苗床畝2坪に選別後種籾を6合播種(尺角植の場合)。
 できれば、安全の為に余分に播種しておく法がよい。
 播種後、土嚢袋3袋/10aの山赤土で覆土し、コンパネを敷いて強めに鎮圧。
 折衷苗代、乾田苗代。播種時は乾田状態(10日ほど前に畝作成し、二度ほど畝土を破砕)。
 畑苗根(分蘖が良いことが乾田育苗を選択する理由)をつくる。
 品種は旭一号(穂重型)。選定理由は、味覚良と晩生であること。
 週に一度くらい、溝に水を入れる(成長に合わせて検討)。

 

◆4月下旬〜5月上旬◆
 荒起し。耕耘。
 トラクターで浅めに耕耘(深さ15cm以内、ゆっくりと高回転で)。
 春草を刈払機で刈り、なるべく有機物(スズメノテッポウなど)をすき込む。
 有機物が少ない場合は、レンゲなどの緑肥使用。レンゲも早生、晩生など地域によって選択。
 できるだけ、種ができてから耕耘。
 10日後を目安に代掻き実施。
 荒代、植代で二回実施(植代のみの場所もある)

 

◆5月末〜6月上旬◆
 田植。
 5葉、播種45~55日までを目処に植える。
 かたつけ器使用。
 坪16株(1尺5寸角)、手植一本植。(36株(尺角植)→30株→20株と地力が増すにつれて、疎植化)
 同地域での通常の田植は6月下旬〜7月上旬
 前日に苗取り、かたつけ。田植は朝5時〜12時で10a定植。
 代掻きは田植5日前に実施、土が固まり次第、かたつけ→田植を実施。
 浅水、浅植で実施。
 できるだけ、早く植えて有効分蘖期を長くとる。
 水は田植以降、収穫直前まで基本的には抜かない。

 

◆6月中旬〜7月下旬◆
 手取り除草、除草機による除草(除草機で根を切ることを推奨)。
 ジャンボタニシによる自然除草。
 有効分蘖期まで除草、以降は田に侵入せず。
 旭一号は7月30日で有効分蘖期終了(熊本県玉名市)、7月20日までに除草を終える。
 高冷地では、1週間〜10日ほど有効分蘖期終了期が早まる。
 動力除草機導入を推奨。中耕して稲の根を切る。

 

◆10月◆
 稲刈。手刈。ハサ掛け。
 ハーベスターで脱穀し、稲わらは水田にばら撒く(春に、そのまま耕耘)。
 780kg/10a収穫(分蘖数は多いもので100を超える)。
 稲わら、籾がら(堆肥化)、野草(畦畔草など)を水田に投入(青草は投入しない)。

 

◆◆コメント◆◆
・苗と土づくりが特に重要。
・土作りを継続すれば反収10俵は誰でも実現可能。

 

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図3. 本田氏による栽培稲


ーーーーー参考資料ーーーーー
農林水産省(2017)「平成29年産水稲の全国及び都道府県別10a当たり平年収量」(http://www.maff.go.jp/j/press/tokei/seiryu/attach/pdf/170316-1.pdf)[2018/3/16参照].
農林水産省(2007)「有機農業の現状と課題」(http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/seisan/pdf/06_ref_data.pdf)[2018/3/16参照].

 


ーーーーー編著者ーーーーー
2018年3月16日 初版発行
著者 國吉賢吾

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